親父(もりやまつる著、2000年、スペリオール誌連載、全3集)
親父は強くなければ生きられない。
優しくなければ生きている資格がない。
世間的にはマイナーっぽいけど個人的には好きな漫画を紹介するシリーズ。
私からは『親父』を紹介したいと思います。
※以下、少しネタバレあり
親父は強くなければ生きられない。
優しくなければ生きている資格がない。
世間的にはマイナーっぽいけど個人的には好きな漫画を紹介するシリーズ。
私からは『親父』を紹介したいと思います。
※以下、少しネタバレあり
〜あらすじ〜
行方不明だった親父が
16年振りに帰ってきた。
以上。
●主人公・親父
※カタギの方です
本名は熊田 猛(くまだ たけし)。
熊田と言っても八百屋とは関係ない。アダ名はブタゴリラとかではない。
好物は酒。二人の子供を持つが、離婚歴あり。
特筆すべきは普通車両を素手でひっくり返すほどの怪力。酒甁の栓も己のアゴで開け、
その身に銃弾3発受けて重傷を負っても意識を失わないタフさを持つ。
キャッチコピーは霊長 類最強。
あっちはホ乳類最強か。
過去に幾度となく傷害と殺人事件を起こしており、劇中で描かれているだけでも9人は殺害している。
スコップで。
しかもうち一人は自身の父親。一撃のもとに脳天をカチ割っている。ツルハシで。
●だが、実は…………
経歴
自分の家族にはただの一度とて手を上げたことはない。
それどころか親思い、子煩悩の大変良い父親である。
件の殺人事件も立ち退き強要のために家を放火した地上げ屋に報復せんがための蛮勇であり、
離婚歴も自身が懲役に行って残された家族の世間体を考えた上での行動だったのだ。
自身の父親を手にかけたのも少年時代、家庭内暴力に晒された母親の命を救うための覚悟の一撃だったのである。
自己犠牲の精神が強く、特にヤ〇ザ絡みのトラブルの時は借金も肩代わりするし(本人は「知らん」とシラを切っているが)、娘の旦那が極道稼業から足を洗う時は自分の指を詰めてでも組長に頭を下げる。
逆に息子がいじめられているのを目の当たりにしても、
助けるのではなく突き放しケンカの仕方を教える。
性格は寡黙。必要以上の言葉は喋らず、いや、意思表示が苦手なタイプらしく、そのおかげで他人との接し方にもトラブルが多い。
故に行動に出る時は言葉よりもまずメンチを切る。
ヤクザが相手でも、息子を諭す時も、家族を助ける時もメンチを切る。怖ぇ。
…以上のように本作の主人公・親父は時に厳しく、時に守り、
日本人が想像しうる『古き良き親父』のイメージを体現せしめたキャラクターなのだ。
逆に、
親父の親父。ややこしい。
前述の親父の『親父』は、悪い、怖い父親像のイメージ(暴力、酒乱、保守的etc)の集大成であると言えよう。
実際、親殺しの十字架を背負った熊田であるが、熊田自身もこの親父の性格を反面教師にしていた節がある。
…そんな『親父』が16年振りに熊田家に帰ってきた。
家族はこの親父を見て何を思うのだろう。
既に記憶から父親の記憶が薄れた娘は暴力団員の妻となり、
息子は不良の道に染まりヘタレと化していた。
そんな子供たちに親父はどんな背中を見せるのだろうか。
妻はどうだろう。夫婦の情愛は消えてはいないだろうか。
いま、熊田家の嵐のような一夜が幕を開ける……………。
正直、当初はネタのつもりで表紙買いしたのですが、
萌えとは縁遠い絵柄ですが、ハッキリ言ってクソ泣けます。
グロ描写過多な1集を乗り越えれば、寡黙だった親父が少しずつ語り始め、
親父の強さ、想い、過去、そしてずっとひた隠しにしていた弱さが徐々に明かされていく。
その描かれ方が力強い絵柄とは裏腹に繊細に描かれていく。
こんなにボロ泣きした漫画は他にあまり知りません。
社会に立ち、道に迷った時はこの漫画に会うと良いでしょう。
きっと『親父』が無骨に激励してくれるはず。
『歯ァ食いしばれ。拳も固めえ。
もっと強く!もっと強く!!
――どや?気合い入ったか。
くじけそぅになったら、そぅしろ。
家族もいっしょや。
なんかあったら、みんなで力を合わせるんや。
この拳のごとく!!
――頼んだぞ、洋介!』
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是非、よんでみたいと思います。