「恋は大人の方程式。数学より難しい。」
チャート式の一文である。
受験生なら誰もが知っている数学の参考書「チャート式」。
受験に必要な数学の問題をパターン化し、一覧にした問題集だ。
筆者の思いなど余計なものをあえて書かない形式をとっている。
その為、機械的でサバサバした印象がある。
今日、パラパラめくっていたら目次の前に2ページ変なページを見つけた。
生徒と先生が会話をしながら「数学と恋」について語るページだった。
■黄色チャート数Ⅱ・B本文から部分的に抽出抜粋
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生徒「先生。恋をすることと数学の勉強をする事と、
どっちが大事なことなんですか」
先生「どっちも大事よ。
でも、今のあなたにとっては数学の方が大事よ」
中略
生徒「数学の問題を解くよりも、生きることの方が難しいんですか?」
先生「そのとおり。
「生きる」ってね、大人になってから解き続けていかねければ
ならない方程式なのよ。
しかも、その「大人の方程式」は、答えが1つじゃない。いくつもある。
かといって、どんな答でもいいというわけでもない。
やっぱり、正解といえる答が2つとか3つとかあるの」
生徒「じゃあ、恋も、その大人の方程式なんですか?」
先生「そうよ。恋といったら、あなたはきっと楽しくて甘くて
笑顔に満ちあふれた恋を想像するでしょう。
でもね、恋には切なくて悲しくて泣きたくなるような恋もあるの。
(中略)それも「恋」という1つの答えだったりするのよ」
生徒「なんだかよくわからないなぁ」
先生「だから、今、数学を勉強するの」
生徒「数学を勉強すれば分かるようになるんですか?」
先生「そうよ。数学はね、考えたり行動したりする「プロセス」を訓練する科目なの。
(中略) それって生きることの縮図なの。たとえば、あなただって将来、
きっとある人と出会い、結婚するかもしれないわね。
(中略)出会って結婚するまでには必ず「プロセス」がある。
つまり、2人が出会って、愛し合って、その結果「結婚」という「答」を
出したいなら、そのためのプロセスを2人で開拓していかなくてはいけない。
ほらっ、これって数学の問題を解くことと同じでしょ。」
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無機質な本の中にあった人間味。
とてもあったかい気持ちになった。
今の心情を「男坂」風に一言。
「俺はようやく解きはじめたばかりだからな。
この果てしなく難しい大人の方程式をよ・・・。」